大人になったら という、幼い頃の口約束を、 本当にしてみる気はないかと、問うつもりでいた。
ところが君ときたら、 恋愛感情とは似ても似つかない情熱を爛々とその目に宿し、 まるで睨み上げるように私を見据えて言ったのだ。
「やっとあんたと同じ位置に立てたわ。 もう子ども扱いはさせませんからね! とりあえずちゃん付けで私を呼ぶのをやめてもらえない、 利吉さん」
まぁ、ほんの数歳差ではあったのだけれど…… では君も、やっと私をちゃん付けで呼ぶのを、 卒業してくれるということで。 ああ、それはもう、願ってもない……
「いいよ、君がそう言うのなら、従おう。 私と君とは対等と、そう思っていいね」 「もちろんですとも」
得意そうに言ってみせる君は、 確かに強がりや背伸びでは決してない、 もう立派に大人の女性と呼んでいいのだろう。 幼い頃に愛おしんだはずのなにかはきっと、 いつの間にか淡く色褪せ、枯れ崩れて消えてしまった。 それを惜しいと思う私の内心はなにか、 ひきつれた痛みのようなものを覚えるのだけれど、 同じように君の目から覗いてみれば、 私からも失われたものがあるのだろう。 幼いなにかが身から剥落して、 ひとは口々にそれを喜び讃辞を向けてくれるけれど、 当の本人には言われるほど顕著な変化の自覚がなくて、 面映ゆいやら、素直に喜べないやら…… どことなく寂しいような、切ないような。 慶事を迎えたことを自分だって疑ってはないというのに。
君が追いついてくれることを、 私はじっと待って今を迎えたけれど、しかし、 君はそんな私に気付かず、 先へ先へと走っていくことばかりを夢見ている。 今度も私は待つ番なのか。 走って先へ行ってしまった君が、 いつか振り返ってくれたそのときには、 君はやっと私に気がついてくれるんじゃないだろうかと、 少しばかり、期待している。 ただの幼なじみとか、戦友なんて私ではなくて、 君を君ひとりの存在として見つめている私に、 気付いてくれはしないかと。
そのときこそは、私は臆せず、君のとなりに並ぼう。 そうして私を見上げたその目には、 もう少し甘い情熱が宿っていてくれることを、切に願う。
■言い訳 成人式ですね。 札幌は13日だった? ようですが、 うちの市は14日じゃなかったかな。 私のとき、ああ三年も前; もう、大人達はお金を取る話しかしませんでした。 幻滅させられる成人式なら行かんでもよかったと、 今となっては思ってしまいます。 私の思い出となるべきだった時間を返せコラぁ……! orz
よい一日になりますよう、記念日ですから。 ニュースで酷評受けるような 激しいはっちゃけ方はなさらぬよう……(笑
おめでとうございます。
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