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本編に負けずと劣らぬシリアス路線まっしぐらの番外編です。
もしかしたら本編の上をいくかもしれない、この重さ。
第三期投票で食満くんがぶっちぎり一位の座に輝きまして、
気持ちとしてはその記念更新というか……
コメントくださった方が番外編をと仰ってくださいまして、
お言葉に甘えてみました。
……すみません、呼ばれて飛び出てががががーんて感じ……

小平太とヒロインの冷戦のシーンが気に入っています。
小平太も彼なりに六年生です というのが、
普段思い描くそれと限りなく近い姿に書けた気がしました。
実習で命を落としたくのたま後輩ちゃんの
彼氏くん四年生には誰という設定は特にありません。
名もなきモブでも構いませんが、もし誰かをあてるとしたら
三木ちゃんかな思いながら書いていました……
だからくのたま後輩ちゃんが会計委員なんだろうな。

本編の上をいくかもしれないと言いつつ、
この話のポジションはあくまでも番外編であるので、
本編を越えないせいぜい三話構成で終わらしちゃると
決心しました。がんばっとけー
【遣らずの雨】やらずのあめ
まるで恋人(お客)を帰さないためかと思われるように降る雨。
このおはなしにおける雨の性格は三次元寄りです。

久々知くん相手の単発ものでした。
初めて書いてみたキャラのおはなしとはまぁアップした途端に
やらかした感にたっぷりと浸れますことよ。アウチ。

ええと
勝手ながら私信に走りますことをお許しいただきたいのですが、

--------------------------- きりとり ---------------------------

いつもお世話になっております「簡素一徹」管理人の羊さんへ、
ぴたりカウントのお話を伺っておりましたし、
ブログででも何かできればと考えあぐねておりましたところ、
私が「簡素一徹」さんの7777番をがっつり踏み抜きまして、
良いきっかけが揃ったとばかりこのおはなしを書きました。
話題にあがった名前が久々知くんだったので彼相手で……
なんと申しましょうか、こう、捧げるなどと申しますと
おこがましい感がどうも拭えなくてへこたれますので、
簡素一徹さん7777ばんおめでとうございました、と、
羊さんいつもありがとうございます、と、
ふたつの思いを胸に抱きつつ書きました、ということだけ、
言い訳がましくおしらせ申し上げます;
……でも私、羊さんの久々知くんがすごい好きなんです。。
やっぱりそこへは手が届きませんでした。。ハァー
というか恋慕の情を抱いて書いてこの薄暗い話で
本当になんて言うかなんて言うか…… orz

--------------------------- きりとり ---------------------------

ほんとはこのおはなしだって最初ブログレベルでした。
長さが。。
明るい雰囲気にはなんだかなり得ないという点で
夢小説とはやっぱり名乗れそうもないアレですが、
読み終わってからあーいい話やった! などと
ひざを叩いてもらえるようなですね、
そういうおはなしが書けるようになりたいなと。。
鏡見てから言えみたいなアレですかね!
精進しますハイ!
秋の祭礼は現代のお祭りの感覚で。
それくらいのアバウトさでお願いします!
文次郎に真面目にラブを演じてもらおうとすると
ギャグに思えてくるのはなんでですか。
文次郎とヒロインちゃんでシンデレラやってもらおうと
したんです その結果がこれでした(笑
そして六年生御一行様が勢揃いしたことには
本当に意味がなかった。
無駄なことはしないほうがいいなと思った。

冬休み編では初詣に行って更に進展
しかし これ以上の進展 となると字を伏せるしかない orz
がんばります
小平太くんには好きな女の子がいます。

小平太くんは自分が大事に思っている人に対しては、

とっても寛大に寛容になれる男の子でしたから、

彼女を喜ばせてあげたい一心で、

自分で持っているものならば惜しげなく彼女に差し出しました。

それは、おいしいお菓子だったり、

町で見つけたちいさな髪の飾りだったり、

面白そうなおもちゃだったり、

彼のお友達が教えてくれたいくつかの本だったりしました。

彼女は嬉しそうに笑って、ありがとうと小平太くんに言います。

けれど小平太くんはそれでは満足できないのです。

彼女は笑ってくれるし、嬉しいと言ってくれるし、

ありがとうと受け取ってもくれます。

小平太くんは一度だって彼女に拒まれたことはなかったのです。

けれど彼はいつも物足りなく思ってしまうのでした。

小平太くんは考えます。

「どうしたらあの子は心から笑ってくれるんだろう。」

そうです、小平太くんは彼女を

心から喜ばせてあげられたことがないらしいことに

自分で気がついているのです。

たくさんの贈りものをして、

小平太くんはもう彼女になにをしてあげたらいいのかが

わからなくなってしまいました。

今となってはおかしなことに、彼女は会うたび、

小平太くんに寂しそうな笑みを向けるのです。

そんな顔が見たいわけでは、小平太くんはありませんでした。

「私は間違ったことをしていたんだろうか。」

小平太くんはちょっとだけ悩んで考えてみましたが、

どうもうじうじするのは性分に合いません。

小平太くんはやがて立ち上がって、

彼女に会いにまっすぐくの一のお屋敷のほうへ向かいました。

曇っていた空にますます黒い雲が立ちこめて、

激しい雨が降り出しました。

これでは彼女には会えそうもありません。

このくらいの時間、彼女はいつもお友達と一緒に

くの一のお屋敷の庭にいるのです。

けれど、こうも激しい雨が降っては、

女の子達もお部屋へ戻ってしまっているでしょう。

諦めて帰ろうかと思ったところ、

目の前でくの一教室の敷地と忍たまたちの敷地を

隔てている塀の、出入り口扉がぎぃと開きました。

小平太くんが目を上げると、傘をさした彼女が、

慌てて小平太くんに駆け寄ってくるではありませんか。

「どうしたの、雨の中。」

彼女は持っていた傘を小平太くんにさしかけ、

手ぬぐいでびしょぬれの彼の髪や顔をぬぐい始めました。

「よく 気がついたね。」

「ええ、なんとなく。どうしてかしら。」

彼女は不思議そうでしたが、

このままでは小平太くんが風邪を引いてしまう

というところにばかり気をとられていました。

「なにか ご用事でも?」

聞かれて、小平太くんは首を横に振りました。

「会いたくなったんだ。」

彼女は目をまん丸く見開きました。

「それだけの ために?」

「うん、それだけの ために。」

小平太くんはにっこり笑いました。

「ごめんね。
 私はもう、きみになにをしてあげたらいいのか、
 さっぱり 思いつかないんだ。」

彼女は思わず、びしょぬれの小平太くんを

手ぬぐいでぬぐってやっていた手を止めてしまいました。

「きみが 好きだから、喜んでほしくて、
 いろいろ頑張ったつもりだったんだけど、
 上手くいかなかったみたいだ。」

聞きながら、彼女がみるみる悲しそうな顔をして、

目に涙を浮かべたのを見て、

小平太くんはああ、やっぱりねと思ってしまいました。

「やっぱり 私は、間違っていたのかもしれない。」

彼はそう思いました。

彼女は泣きそうになりながら、精一杯言いました。

「私、欲しいものなんてなんにもないの。
 すてきな贈りものもたくさんもらったけれど、
 でも、本当は、好きって言葉をいちばん聞きたかったの。」

小平太くんはきょとんとしてしまいました。

しばらくそのままぼーっとしたあとで、

彼はやっと思い当たりました。

贈りものでいけいけどんどんアタックをしまくっていたのに、

小平太くんは彼女に一度も、

好きだなんて言ってあげたことがなかったのです。

彼女はそれで、小平太くんの気持ちがよくわからなくて、

不安になってしまっていたのでした。

「なぁんだ、そうか。」

小平太くんは一気に安心してしまいました。

それからというもの、小平太くんはいつもいつも、

彼女に好きだよと言ってあげるようになりました。

それは、彼女にとっても不安な気持ちが浮かばないので

とってもいいことだったのですが、

彼女はいつもいつも少し恥ずかしい思いを

するようになってしまいました。

それを周りで聞いているお友達や、後輩達などは、

見ているのが恥ずかしいやら、すまないやらで、

すっかりちぢこまってしまうようになりました。

小平太くんばかりは、いつものように元気にしています。

今日彼女に会ったら、きっとデートに誘おうと、

授業もそっちのけの頭の中で、

勇気を振り絞っているのでした。






言い訳
「あいつに会ってきた」

「さようでございますか」

「元気そうだった」

「ええ、そのようで」

「……言ってきた」

「さようでございますか」

「小夜」

「はい?」

「お前、上の空だろ」

「いいえ、そんなことは」

「……お前は、どう思う?」

「なにがでございましょ?」

「あいつが潮江の家に、俺のところに、嫁に来たら」

小夜は一瞬黙り込んだ。

「……それもようございましょうね」

「お前、ほんと上の空だろ」

文次郎はばつの悪そうな、
それでいて少し照れたような顔で小夜を見上げた。
小夜は言われて、くくくと笑った。

「嫌だ、坊ちゃま」

「そのボッチャマ言うのはやめろ」

「坊ちゃまは坊ちゃまです。でもねぇ、私なんかは」

小夜は針箱の蓋を上げ、
針をつまむと器用にその端に糸を通した。

「坊ちゃま方がこーんなお小さい頃から」

(と言いながら、
 小夜は親指と人差し指で一寸くらいの幅をつくって見せた)

「小さすぎだろ!」

「きっと将来はそうなるのだろうなと思ってましたもの」

「……そうかよ」

「ええ、も、想像通りです」

「そうかよ」

「そうですとも。
 このお嬢さんを、私は将来若奥様とお呼びして、
 お世話して差し上げて、お仕えするんだわってね」

文次郎は驚いたように目をまん丸に見開いた。

「長生きをして、ずぅっと御奉公させていただけたら、
 もしやするとお子様もお孫様も、
 この手に抱かせていただけるかしら、なんてね、
 結構、夢を見てましたのよ、そんなことをね」

「……小夜」

「ねえやとかばあやとか、
 呼んでいただけたりするかしらなんてね」

「……つーか、お前が嫁に行くことも考えろよ」

「あら。そんなこと」

小夜は繕い物をする手元から目を上げ、
彼女の仏頂面の若主人を面白そうに見つめた。

「あたしはね、坊ちゃま、潮江のお家へ御奉公するそのことに
 嫁いだ気になっているんです。
 どうか、坊ちゃまの代になりましてもね、
 三行半を突きつけるなんて仕打ちは
 なさらないでくださいましね。
 年寄り女をひとり路頭に迷わすようなそんな血も涙もないことを、
 まさか坊ちゃまにできるわけがございますまいよ。
 坊ちゃまはこのあたしがおしめを替えて、
 おんぶ紐で背負ってあやしたんですからね。
 よもやお忘れではございませんでしょうね」

「覚えてねーよ赤ん坊の頃のことなんてよ!
 つーか俺生まれた頃お前いくつだよ」

「ええと、七ツくらいかしら」

「……いいからお前嫁行けよほんと」

「こればっかりはねぇ、お相手がいなくっちゃ」

小夜はからからと笑った。

「いいんですよ、結婚なんてね。
 それが女の幸せのすべてなんてわけじゃあありませんよ。
 私は今でとっても幸せです。
 まぁ、坊ちゃまが将来若奥様を大事にしてくださればね、
 今後の心配はそれくらいのもんでしょうよ」

何事もなかったかのように小夜は手元で針をすすめ、
糸をくわえてぷちんと切った。

「さ、繕いものは済みましたよ。
 鍛錬鍛錬と仰いますけどね、坊ちゃま。
 待っている女には泥だらけになって怪我までして
 服破って帰ってくるだけでしかないんですよ。
 お嫁さんを迎えるおつもりならね、自重なさいな!」

「……ハイ」

「よろしい」

「ありがとーした」

「ま、命があるうちはお説教して差し上げましょう」

「そりゃ、どーも」

鍛錬で派手に破った着物の肩あたりが
丁寧に繕われたさまを見て、
文次郎はなにか胸が熱くなるのを感じた。

「なぁ、小夜」

「はい」

「お前がうちにいてよかったよな」

しみじみと、ぽつりと文次郎がそうこぼしたのを聞き、
今度は小夜がぽかんと目を丸くした。
やがて、嬉しそうに顔をほころばせた。

「まぁ、嬉しいことを。
 あたしにとってはいちばんの御褒美です、そのお言葉。
 ねぇ、お嬢さんはこんなお気持ちだったのでしょうね、
 坊ちゃまに求婚されたそのときには」

話を蒸し返すなと、文次郎は照れを隠すのに怒って見せた。
幼なじみに抱いているのとは少し違うものではあるが、
文次郎が確かに愛おしく慕っている相手が、
ここにもうひとりいるのである。






言い訳
 
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のねむ
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