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「なぁ、いま後ろ通った子見た?」

放課後の帰り道、駅のホームでのことだった。
雪もちらつくほど寒い冬の日で、
電車が入ってくるまでの数分間が
気が遠くなるほど長く感じられた。
おしくらまんじゅうでもするかのように肩を寄せ合って、
電車はまだかと線路の奥へ視線を注いでいた一同は、
留三郎がそうつぶやくまで
『後ろ通った子』にはまるで気づきもしていなかった。




つづき
2013年、明けて一か月経ちまして、おめでとうございましたorz
二月でございます。すみません。
今年もよろしくお願い申し上げます。
ご挨拶が遅れました。
管理人ののねむです。
ファイルに起こすほど煮詰まっていないけれど
ちょっと楽しげだった脳内の風景を小話にして、
新年のご挨拶代わりに置いていきます。

雑渡さんvsヒロインで、
ヒロインは雑渡さんの(便宜上)嫁ということになっている、
という前提でまいります。
雑渡さんに決まったひとりがいるという設定自体が
私にはなかなか飲み込みにくくて、
そこを楽にするために付加設定をくっつけるのですが、
今回もちいました要素は「病弱」「同年代」でした。
雑渡さんと同年代となると少なくとものねむ自身よりは
年上のヒロインということになりますし、
夢小説というものをお好みの年代層は十代、という
私の思い込みからすると感情移入しにくい世代のヒロイン
ということになりそうだなあと思うのですが……
でも忍ってママ夢屋さんとか
大人女子夢屋さんが多いジャンルだなという印象もあります。
というか、同人界が現在のかたちにある程度定着して
広まって自由に操れる頃に十代だった人たちが大人になって、
上の世代が増えたってことなんだろうなとも思っています。
私自身も分類されるなら上の世代という気がしていますし。
まあ、そのへんは、さておき。

久々に 新しく書いたもの です。
ストックに頼らなかったときはちょっと頑張った感が(殴
名前変換がございませんorz
デフォルト名で我慢してください。




つづき
※食満くん視点・彼の口調で進みます
  ヒロインは登場しません


約束もない、予定もない、
少し時間に余裕のある日の夕方だった。
ほとんど暮れかかった空に、
名残を惜しむように茜色がにじんでいる。
雲ひとつない天空には早々と一番星輝いていて、
ただぼんやりと見上げていると、
わけもなく心許ないような切ないような、
そんな気分がしてくる。
こういう感覚を、人恋しいとか言うんだろうか。
最近やっと恋人同士になれた相手に思い当たるより先に、
俺の脳裏によぎったのは子どもの頃の記憶だった。
小学生当時、まだ誰も自分の楽器に出会って間もない頃。
無性に懐かしくて、
さっさと帰って練習室にこもるべきなのに、
俺は今出てきたばかりの校舎へ戻ろうとしていた。
迷路のように入り組んだ廊下を先へ先へ、
向かうのは普段あまり足を踏み入れない区域だ。
ヴァイオリンよりもやや低い、
弦楽器特有のなめらかな音が響いてくる。
講義室のドアのガラスからそっと中を覗き込んだ。
薄暗い室内で、
チェロを弾いている長次の背中が見える。
耳元をくすぐっていく旋律は
バッハの無伴奏チェロ組曲の
第一番・プレリュードとサラバンド、だ。
ヴァイオリンほど音に鋭利さを感じないというか、
ぬるま湯がせせらぎになって
やわらかく耳朶を撫でていくような、
チェロのそういう音の響きが俺はすごく好きだ。
木でできた楽器の音だ、という感じがすごくする。
長次が演ってるから、というのもきっと大きいけど。
演奏が終わって長次が肩の力を抜いたのを見計らって、
ドアの外から拍手を贈る。
長次はそれで俺に気がついて、
振り返ると視線で「入ってこい」と言ってくれた、と思う。
遠慮なく従って講義室に上がり込み、
手近な椅子に腰掛けた。

「それ、今の課題なのか」
「いや。弓ならしだ」

好きな曲だから、と長次は言葉少なに言う。

「何か用があったのか」
「や、帰るとこだったんだけど」
「今日は約束はないのか」
「ないない」

彼女と約束をしていないのか、と長次は言いたいのだ。
長次なりの冷やかしなのだろう。

「外、空がいい具合でさ」

返事のかわりに、長次は窓の外に目をやった。
開け放たれていた窓から入ってくる風は、
もうすでに冷たい。

「まだ夕日の色も残ってるんだけど、星も出てて。
 ちょっとタソガレちゃって、気分が」
「そうか」
「笑うなよ。
 なんかガキの頃のこと思い出してさ。
 みんな楽器習いたての頃」
「懐かしいな」

長次もかすかに口元で笑った。

「なあ、アレ弾いて、久しぶりに」
「どれのことだ」
「『銀河鉄道の夜』の」
「宮沢賢治か。『星めぐりの歌』のことか」
「かな? 題名が出てこなくて」

長次は黙って弓を取りあげ、弦の上にのせた。










「……なあ、長次はなんでチェロにしたんだ」
「テレビで見て」
「はあ。テレビ」
「芸術劇場という番組の……」
「あー」
「あるチェリストの独演会を放映していた」
「へえ」
「そのコンサートではクラシックを演らなかったので
 取っつきやすかったんだろう、子どもにとっては。
 チェロ向きに編曲されているので原曲とは印象が違うが、
 あの演奏通りに弾いてみたいと思ったのが最初だ」
「ふーん。なに演ったの、そんとき」
「ナウシカの映画の挿入曲を二曲と……
 スノーマンのテーマ曲の『walking in the air』、
 エンヤの『water mark』……それから」
「それから?」



「『風の又三郎』。そして『星めぐりの歌』」


 * * *

私がなんとなくチェロを好きだなと思う理由に
このコンサート映像を見たというのがあります。
父がビデオに撮り、のちにDVDに焼いてくれたので、
ときどき見返して心が凝り固まったのをほぐします。
子どもの頃に得たものってかなりあとあとまで
決定的に自分に影響することがあるなあと思います。
設定が飛んでるパラレルの『dolls』の
仙蔵編の冒頭部をちょっとくっつけてみます。
仙蔵編で自分なりに
どんでん返しみたいなものを仕組んでいて、
公開できる日を楽しみにしているんですけれども、
タイミングがかなりあとになりそうなので
冒頭部だけ……

設定が飛んでる、ので、ご覧の際はご注意ください。
ただ、シリーズ全体に横たわる人でなし設定は
ここでくっつける一部分には登場しないので
説明を割愛します。
詳細設定はもくじページから繋がっている
説明ページをご覧ください。

■ご注意■
・仮想19世紀、欧州風のどこかの国が舞台
 仙蔵編は立花邸宅のサルーン(サロン)における
 会話劇です
・仙蔵とゲストキャラ(名前出ず、誰なのかすぐわかります)
 の二名はその舞台設定を踏まえた上で
 貴族家系のお坊ちゃんということになっています
・仙蔵編は恋愛展開ではありません
 ヒロインに相当するキャラクタも登場しません

こんなところかな
ではつづきからどうぞ

つづき
最近、更新が少ないからせめて、と言いながら……

ストックにあったものを出してくるのはいいのですが、
自分としてはブログサイズだろうとしか思えない話を
わざわざファイルに起こしてアップするという、
なんかちょっとずるっぽいことをしてしまっていて、
ちょっと嫌です。はい。

そういうわけで、いつもの逆を辿りまして、
ちゃんとページ作ろうかなと思っていたものを
ブログに落っことしました。
ゆえに名前変換がありません。
つづきからどうぞ。
企画用のお話は16稿目に入りましたorz
くっそう始まらない終わらない




5月7日は粉もんの日だってご近所のスーパーが頑張ってPRしていまして
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のねむ
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